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製造業に対するクレーム対応

弊社は製造業です。近所に住んでいる住民から、工場の騒音がうるさいとクレームがきました。実際にそのような事実はないにも関わらず、役員宅まで押しかけるようになり困惑しています。

相談者
性別:A社/製造業

ご相談の経緯

事実無根のクレームをやめさせたい

製造業を営むA社に、高齢の近隣住民から工場の騒音がひどいとクレームがありました。

住民の指摘するような騒音は発生しておらず、社員が困惑するなか、その住民は深夜に役員の自宅まで押しかけて事実無根のクレームを喧伝することも数回ありました。説明しても取り合ってもらえず、このままでは風評被害が広がる恐れもあり、どうにかならないかと当事務所に相談がありました。

ご相談のポイント

悪質なクレームは刑法に触れることも

一見よくある近隣住民との騒音トラブルですが、騒音の発生がない以上会社側に落ち度はなく、近隣住民は悪質なクレーマーといえます。深夜に役員宅へ押しかける行為はクレームの主張方法として著しく相当性を欠いており、強要罪や住居侵入罪などの刑法に触れかねない悪質な行為です。このようなクレームは、近隣の住民だからと甘受することなく、毅然とした対応を取ることが重要です。

たちばな総合法律事務所に依頼された結果

警察や行政にも協力を依頼して解決

騒音が起きていないにも関わらず、深夜に役員の自宅にまで押しかけて対応を求めることは、その様子によっては強要罪に問われます。また、クレームのために住居に勝手に押し入るようなことがあれば、住居侵入罪にも該当する可能性があります。さらに複数回の押しかけであると迷惑行為防止条例違反(つきまとい行為の禁止)にも抵触する可能性があります。そのため、弁護士が会社の代表者とともに所轄の警察署に相談へ行き、警察にパトロールなどの強化等を求め相談事績を残してもらうとともに、再度このような行為があった場合には、会社側は毅然とした対応をとるようにとアドバイスをしました。

また、そもそも、実際には騒音が発生していないにも関わらず深夜に役員宅を訪れてクレームをつけるという行為は通常の行為とは言い難く、その行為態様や高齢であることから当該住民には認知症の可能性も考えられました。そのため、警察署に相談に行った後に、弁護士と会社代表者が市役所の福祉課に状況を報告し、福祉の立場からも対応してもらうことにしました。

弁護士からのコメント

荒立てたくない近隣トラブルの解決は弁護士へ

近隣トラブルは今後の近所付き合いもあり、できるかぎり穏便に問題解決を目指したいと考えがちです。そのため、民法や刑法などの法律のみでは対処できないことも多く、なかでも高齢者に対する対応については今回のケースのように福祉の力を頼るなど、総合的な対応が求められます。今回は警察や行政の協力もあり、大きく事を荒立てることなく解決することができました。

弁護士に依頼すると訴訟や調停など、大ごとになるイメージを持たれがちですが、依頼者の希望に合わせた解決方法を一緒に考えていくことができますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

「お客さまからのクレームは宝である」と言われるように、正当なクレームは自社商品やサービスの向上につながるものです。しかし、なかには不当なものや悪質なクレームもあります。悪質なクレームには毅然とした対応をすることが重要ですが、その線引きがむずかしいこともあります。クレームの内容が法的に妥当か、どういった対応をすべきか、円満な解決のためにも弁護士にご相談ください。

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